小さなリング状の陶磁、繊細な美しいガラス、リアルなスルメと茶碗の木彫、虹色の数字は螺鈿だし、スニーカーはケント紙でできていて。本物を目の前にして驚愕してほしい。制作過程の動画を見るのを忘れずに! 東京は三井記念美術館で11月26日まで(月休)各地巡回。
◆マーティン・スコセッシ監督の「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」を観た。ディカプリオ主演で、アメリカの黒歴史を知ることになる実話に基づいた3時間半の超大作。白人によって追いやられた土地に石油が出て、大金持ちになった先住民たち。その富を横取りするために次々と殺人事件が起こるという恐ろしくて酷い話。
妻への愛情もありながら愚かな言いなりの男がディカプリオで、笑顔でも腹の中はわからないデ・ニーロは適役、先住民である妻を演じたリリー・グラッドストーンはとても魅力的だった。長さで尻込みする人もいそうだけど、緊迫感でクギ付けとなってダレることなく一気に進んだ感覚。ラストに監督自身が涙を浮かべながら”その後”を語る姿にぐっと来たし、エンドロールは印象的だった「沈黙 −サイレンス−」のときと同じ、自然界の中で人間はなんて愚かなのかと感じ入ってしまった。劇場の大画面で、大音量で、ぜひ。
◆9月に観た「デイヴィッド・ホックニー展」(東京都現代美術館・11月5日で終了)は作品の素晴らしさはモチロン、86歳のパワーに圧倒された。新たなものへの興味と挑戦、そして体力。天才って技術だけではないのだな。凄すぎてなんだか書きそびれてしまった。
10月に軽井沢でたくさんのキノコに会えた。今年は猛暑で時期がずれ込んで、タマゴタケが中旬も続々と出ていたし、逆にクリタケは遅れていて会えなかった。こちらではほんの少しの紹介。インスタグラムの方ではキノコ多めにアップしているので、興味ある方はフォローしてみてください。
〜2023年10月〜
]]>月刊誌/カット・コラムイラスト/ペーパーハウス(2022-23)
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児童書/三話のイラスト/国立科学博物館 監修/山下美樹 作/西東社(2023)
]]>この時代の児童雑誌の挿絵は、今と比較にならないほど質が高くて、憧れであり目標である。絵画的で大人っぽさもあるこの時代のほうが、キャラクター的なかわいさの現代のものよりも、ずっと美しくて洒落てて好き。(6月18日まで・月休)
◆映画は、少し前に「TAR」、公開すぐに「怪物」を観に行った。
ケイト・ブランシェットの怪演が話題だった「TAR」は世界的な指揮者が主人公。古典的な題材でもあり、現代的な創りでもあり。序盤はやや緩慢に感じていたら段々と不穏になり、現実と幻想の判断がわかりにくくなってきて、ラストの凄まじさにドクドクしながら帰宅した。自分なりの解釈はあるものの、いろいろなレビューを読んでは「そういうこと?」と思ったり反芻している。
カンヌで二つも賞を獲った是枝監督+坂元裕二脚本+坂本龍一音楽の「怪物」もやはり、後々も引きずっている。火事で始まり、台風が来て、美しい晴れに。夜の諏訪湖は街明かりの真ん中のブラックホールのよう。一部分から見た景色は、別の方向から見れば違う景色であるということ。
役者たちの演技は皆素晴らしく、中でも田中裕子には感嘆!あのスーパーでの行動、ホルンとトロンボーンの場面にはグッと来た。どちらの作品も心がザワザワさせられてしまい、モヤッとわからないところもある。再度観たら解釈が変わるかもしれない。すごいものを観た。
〜2023年6月〜
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児童書/一話(見開き5枚)イラスト/秋山宏次郎 監修:ささきあり 作/西東社(2023)
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<月刊絵本>キンダーメルヘン 6月号/作:山田マチ/フレーベル館(2023)
]]>やはりぶっ飛んでいた「スイス・アーミー・マン」の監督と知って、あぁ!ナルホドと思った。アライグマの場面は最高だし、石の場面は大好き。下ネタあり、笑いあり、ほろりと親子愛。今までのアカデミー賞のタイプとは全く違うし、ついて行けない人もいるかもしれないけど、この体験はきっと面白い。
◆もうひとつ映画「フェイブルマンズ」も観に行った。スピルバーグ監督の自伝的作品で、両親が亡くなってすぐに製作されたという。こちらも長く151分。ゴールデングローブ賞は作品賞と監督賞を獲得したけれど、アカデミー賞は7部門ノミネートで無冠に終わって残念だった。母親役のミッシェル・ウィリアムズがとにかく魅力的で、主演女優賞がこちらのミッシェルでもおかしくないくらい。
時代の空気感や、土地の雰囲気、変わってゆく関係。アメリカは広く、住む場所により人々も違う。ずっと夢中になってきた映画の情熱は変わらずに持ち続けている。ラストに登場する大監督を演じている人にびっくりした! スピルバーグ監督との接点を感じない人だけどニヤニヤしてしまった。それにしても、さすがスピルバーグ、間違いない作品でとても良かった。母が弾くピアノの音色がノスタルジックな気持ちになって心に残る。
〜2023年3月・その2〜
]]>一本目は、サム・メンデス監督の「エンパイア・オブ・ライト」。イギリスの海辺にある映画館で働く中年女性と、新しく加わった若い男性。1980年から1981年のサッチャー政権下、映画はフィルムの時代。スペシャルズの新譜のレコードをお見舞いに持っていくところに懐かしさでグッと来た。そう、あの大きさをワクワクしながら持ち歩いたし、友達と貸し借りをしたり部屋に飾ったりしたなぁ。
傷ついた過去、傷つけられる日常。未来はきっと明るいと思いたいけれど、2023年現在だって、パワハラ・セクハラも人種差別も無くなっていないし、不安定な心の人も多そうだ。優しく接してくれる人もいるのが救いであり希望なのか…後半に涙がとまらなくなってしまった。じんわり心に染みる作品だと思う。
◆そしてパク・チャヌク監督の「別れる決心」が二本目。韓国の山頂から始まり、海辺で終わる。睡眠障害の刑事が夫殺しの容疑者に惹かれてゆくが、現実と想像が時に混ざり込んでいるのは心の揺らぎを感じたけれど、思いをやたら吹き込んで録音するのは謎だった。ズームの多用もちょっと変だけど不思議な浮遊感があり、夢の中の出来事にも感じる。
山の形、海辺の岩、気の遠くなる階段に急な坂道など、こんな場所が本当にあるの?!ってくらいロケ地が面白かった。ラストは衝撃的で、キム・ギドク作品に通じるものがあった。何度か観ると、また違いが出てきそうな、なんとも興味深い独特の作品でオススメしたい。
本や映画などアートは、束の間の幸福感を与えてくれて、栄養となって残ってくれる。どちらもとても良かった。やはりちゃんと観ておかないと。
そしてミモザがほころんでいる。それを目当てに散歩する。なんて美しい!沈丁花も香ってきて、それもいい。アミガサタケはまだかとソワソワし始めている。
〜2023年3月〜
]]>映画は「ザ・メニュー」というグルメ界をキョーレツに皮肉った怪作。船でしか行けない孤島にある超高級レストランに、予約の取れた10数人の客たち。店側も客側も胡散臭いし、冒頭から不穏な空気が漂っている。伝説のレストランだったエル・ブジに憧れたことを思い出したり、たしかに、あるある、なんだかね、のこの感じ。古くは「コックと泥棒〜」、新しくは「ミッドサマー」の雰囲気を思い出した。ちょっと疑問なところもあるのは置いとくとして、洗練されたホラーを楽しめた。
◆久しぶりの展覧会は「junaida exhibition IMAGINARIUM」へ。junaidaの絵本は手に取ったことがあり、日本人離れしたセンスに驚いたので、これは原画をじっくり観たかったから。
会場の作りも素敵だし、ずらりと並んだ端正な作品群に圧倒された。インクとガッシュで彩られた美しい色々!細かく緻密に描かれたワクワクする世界。手描きの技術は息を呑むほどすごい。隅々まで楽しく、美しく、本当に描くことが好きなんだなと思う。
絵本「の」のアイデアが特に好き。絵本を買うつもりだったのに、あまりに素晴らしい原画を観た後だと、印刷の絵にがっかりしてしまって… 仕方ない事だけど、あまりに原画が美しかったということ。こんなに才能のある人がいるんだなんとただただ感動した。東京の市部、立川のPLAY! MUSEUMで2023年1月15日まで。その後巡回あり。
〜2022年12月〜
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はっけん!(がっけん つながるえほん)/11月号 おはなし 作・山本和子/学研教育みらい(2022)
]]>ギラギラと魅力的な悪役が多かったフランシス・ンやサイモン・ヤムの好々爺ぶりったら、誰だかわからないほどで、それもまた良くて。全く変わらない姿の人達にもニヤニヤ。90年代に夢中になった香港映画に再会できた嬉しさと、もうあの頃とは違うという切なさがある。
香港に行ったら林檎日報を買って上映映画のチェックをした頃もあったけど、廃刊にされてしまったし、政府に声を上げていた若者たちの動向はどうなっているのだろう? 自由な空気が狭められていそうで悲しくなる。香港らしさのある文化が消えないよう願っているし心配だったのに忘れていたから、観て良かった。自分のこと、周りのこと、世界のこと、地球のこと。心配が多すぎる。
◆中野区立歴史民俗資料館で「中野でめぐる郷土玩具の旅」(10月30日まで)と「コドモの学びと遊び」(12月4日まで)はどちらも小規模ながらチマチマと楽しめる。「コドモ〜」の方で、昔遊んでいた相撲ゲームがあって!自分の昭和を思い出した。私の横で7,8歳の男の子が「懐かしい〜」なんて言っていたのには驚いたけど。
◆雨が多い分、降らない時にはなるべく歩くようにしている。先月から、近所だけではなく電車で30分ほどの所へも行ってみたら新鮮で、週イチ〜せめて月に一回、トレッキング気分で脳にも身体にも効きそう。そしてそろそろ、新型コロナワクチン予防接種も四回目だ。またまた、まだまだ続くのかな。。
〜2022年10月〜
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今月は、軽井沢に少し滞在したのと、あとは仕事こつこつ、そして雨雨雨。映画は観ていないし、アート巡りもいまひとつ、本は買っても積んだまま。
9月上旬の軽井沢で出会ったきのこ達の中から、選りすぐった写真をまとめてみた(ひとつだけ仲間はずれあり)。だんだんと気持ちいい季節になってゆきながら、値上げだの、アレだの、腹立つことは多いから、たまに外に出て、目に心に栄養をあげなくては。
〜2022年9月〜
]]>500円の入場料で期間中何度でもOKなうえ屋外は無料エリアというのは嬉しい。やはり雄大な浅間山とともに楽しみたいので天気の良い時のほうが気持ち良くてオススメ。9月4日まで。
◆ウォン・カーウァイ監督がプロデュースしたタイ映画「プアン / 友だちと呼ばせて」を観た。美しい男性、しっとりした映像、切ない思い、音楽とともに展開…と、ウォン監督のテイストを意識したというだけあり(別の香港の監督のテイストも一箇所あり)90年代に夢中だったあの感じを思い起こしてとても良かった。このバズ・プーンピリヤ監督の作品をもっと観たくなった。
そして「WKW4K / ウォン・カーウァイ 4K」で、5作品が4Kとなって久々に劇場公開となり、さんざん観たけど一番好きな「欲望の翼」は入ってなく、大画面でもう一度と思った「ブエノスアイレス」を選んだ。レスリー・チャンはやっぱり魅力的だったな、とかいろいろ懐かしく、往年のファンと知りたい若者とで劇場はぎっしり!熱気がすごかった。あの時代のあの空気感に今も同じように揺さぶられるのかどうなのか。ハマったらどんどん掘り起こしていくのだろうな。
◆この夏も素敵なきのこ達との出会いがたくさんあった ↑(応募したのは含まれず)。きのこ写真を撮るようになって、どんどん惹かれていき、ここ7年ほどはすっかり沼にハマってしまっている。初めは運動のためのウォーキングだったのが、今ではきのこ目当てに歩くようになっていて、そのためには朝5時台にも起きられるし、雨が降るのも喜べるし、小さなワクワクを持てて、コロナ禍の単独行動でも退屈なしで、イイコトばかり。探索ー観察ー撮影。食べる目的ではなく、出会って愛でるため、素敵に写してみたい思いで心が躍る。
去年に続いて今年も、日本菌学会の菌類写真展に”ふゆつぼ”の名で3枚応募した(会員でなくても一人3枚までOK)。素人でも研究者でも、菌類に興味のある人達の写真がたくさん!カワイイもの、珍しいもの、顕微鏡の世界など様々で楽しいので、ぜひご覧ください。9月25日まで1ヶ月ほど鑑賞可能。→「菌類写真展 2022」
〜2022年8月〜
]]>まるで韓国映画だとも思うし、是枝さんらしさもとても感じた。階段を上ってゆくシーンとか、人生を考えさせる誠実さとか。子供を死なせてしまう人、授からずに悲しむ人、授かって困る人、いろいろな立場があり、辛いニュースを聞くたび胸が痛む。倫理だけじゃ語れない問題。この映画が一石を投じることになってほしい。
◆7月頭に軽井沢できのこ探索をして、会ってみたかった”シロキツネノサカズキ”に会えた。とても小さく、乾燥して地味な姿でも、見つけた時はカワイイ!と興奮(写真・左下)。その日の夜に雨が降り、翌朝見に行くと色鮮やかでふっくら美しくなっていて(右下)嬉しさ倍増となった。きっとさらにカワイイ”開いた姿”に立ち会えなかったのが残念だったけど、またの機会を楽しみに。
この夏の初かき氷は生イチジク。涼しい日にボリュームたっぷりの氷を食べてしまったので、美味しかったのに、最後の方は気づくとフウフウ息をかけながら食べていた。猛暑は苦手でも、やはり氷は暑い日に食べたほうが良さそう。
〜2022年7月〜
]]>そして、世界各国で翻訳された本もたくさん!こんなに夢中にさせているなんて、しかも次から次と新作を生み出していてスゴイ。東京は7月3日までの日時予約制で、残念ながらすでに完売。今後各地へ巡回のおりは早めの行動をおすすめ。
◆映画「FLEE フリー」は、アカデミー賞の3部門にノミネートされたデンマークの作品で、本人とわからないよう名前などを変えてアニメーション表現にした実話のドキュメンタリーとのこと。戦地となったアフガニスタンを脱出してロシア経由で北欧を目指す家族の過酷なストーリーは、a-haの"Take on me"で始まり、あぁあの頃かと懐かしく思った。
「ペルセポリス」というイランの少女がフランスに脱出する話(コミックもアニメーション映画も素晴らしい!)を思い起こしたが、今作品もとても良かった。難民であることとゲイということで苦しい思いしてきたアミンが大人になり、誰にも話してこなかったことを告白する。現在の満ち足りた輝きが続くこと、同じような状況の人々が救われることを願わずにはいられない。
描き込んだ絵ではなく、シンプルなアニメーションながら、ときにラフななぐり描きとなるのも効果的で、実写で静かに終わるのが胸に迫った。とても考えられた手法であり、今の世界情勢のなかで観るべき作品だと思う。
もう梅雨は終わってしまった?と心配になるほど暑くて降らない日が続く。温暖化のせいなのか、厳しい夏になりそうで早くもうんざりしている。
〜2022年6月〜
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キンダーブック1/7月号おはなし/作・おだしんいちろう/フレーベル館(2022)
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写真左上のパペット人形も同じ時の土産で、たぶん旧チェコスロバキアのもの。子供の頃はピアノの上に飾ってあって思い出深いし、なんともノスタルジックな雰囲気で素敵だ。これは手放せない。ただ、ずっと謎なのは、この二体、おばあさんとおじいさんなのか、良いおばあさんと悪いおばあさんなのか、よくわからない。チェコの人が見たら何の物語の登場人物かわかるのかな?
◆春に標高の高い所で会えるシャグマアミガサタケに、今年も軽井沢で出会えた。独特のワイン色で大型なので目に入りやすく、猛毒でクシャクシャの皺だらけ姿を不気味と思う人もいるけれど、私には魅力的だ。何本も並んでいる場所を見つけた時はそれはもう大興奮だった! そして都内ではそろそろ、きのこの本格シーズンが始まった。雨が降るとそわそわして、早起きの早朝散歩が苦にならないこの頃。
〜2022年5月〜
]]>まずはアカデミー賞を獲ってすぐ「ドライブ・マイ・カー」を。3時間超えも気にならず、いかにも村上春樹テイストを感じさせつつ、この監督の感性で俳優たちの魅力を引き出したようで、静かな感動があった。特に、岡田将生の車内の告白シーンには涙があふれて止まらなくなったし、手話の女優の生き生きと美しい姿が素晴らしかった。後々しばらく経ってから、ふと思い出してじんわり来るような作品かもしれない。村上作品はけっこう読んでるのに、この本は未読なので読んでみたくなった。
◆俳優でもあるケネス・ブラナー監督の子供時代を投影したという「ベルファスト」がとても良かった! ほとんどがモノクロであり、北アイルランド紛争が勃発して巻き込まれてゆく話というと、暗く重苦しいイメージかもしれない。けれど、1969年の9歳の少年の日常とその家族の話であり、貧しかったり病気だったりのなか、皆で映画(懐かしいチキ・チキ・バン・バン!)を観に行き、音楽を楽しむ。こういう体験が芸術的土台になってるのだと思った。俳優もサントラも素晴らしいし、誰にでもオススメしたい愛らしくて大好きな作品。(トイレに関しては驚いたけど)それにしても、プロテスタント対カトリックって、、同じ地域で、、人間って。
◆ギレルモ・デル・トロ監督の作品は劇場で観ることにしているので「ナイトメア・アリー」も。おどろおどろしい見世物小屋の世界。最後はああなるんだろうなと途中からわかるし、後味が悪い、エンドロールの画面が気持ち悪いったら。でも、はらはらドキドキ、映画らしい綺羅びやかさもどん底もありで、劇場で観て良かった。
◆4月といえば、桜が散る頃に出てくるアミガサタケの季節。毎年会うのを楽しみにしているきのこで、いつもの場所に加えて新たな生息地を数カ所見つけられて嬉しい。ブラック系は見たことがないけれど、イエロー系といっても個性豊かで、網目の細かさ、軸の太さ、大きさも形もいろいろで、厳密には細分化されるのかもしれない。アミガサタケはそろそろ終盤で、本格的なきのこシーズンが始まる。仕事に余裕がなくて”合間に散歩”とはいかないので、ほぼ毎日5:50に起きて、早朝ウォーキングを兼ねた”きのこ観察”をしている。朝ワクワクして、夜は早寝になっているから、健康にも良さそう。
〜2022年4月〜
]]>’69年に大阪万博のため再来日をして壁画の制作、瀧口修造をはじめとした交流もますます深めて。埴輪に影響されてるらしい立体に、日本的な壺。信楽焼の狸と並ぶ写真がいい表情で。愛蔵の民芸品のあるアトリエで、イマジネーションを膨らましたのかな。ミロは知ってるつもりでも、新鮮なナルホドがあって充実していた。4月17日まで・土日祝と4月11日以降は日時予約制。
◆三菱一号館美術館での「上野リチ:ウィーンからきたデザイン・ファンタジー展」も素晴らしかった! 19世紀末のウィーンに生まれ、京都出身の日本人建築家と結婚して来日し、両国で活躍した女性。色彩とデザインの感覚が卓越していて、お洒落でカワイイ作品を生み出していた。学校でも厳しく指導にあたったらしいので、職人にも決して妥協しなかったはず。刺繍や七宝のデザインは素敵で細かくて、それに応えた技術者たちの凄腕には驚いてしまう。七宝って、こんなにも美しいものだったんだと目からウロコ。マッチ箱カバーという存在も時代を象徴してて面白い。
1935年制作の花鳥図屏風がとても気に入った。外国人ならではのモダンさがあって。彼女が内装をデザインしたレストランやクラブに行ってみたかったし、小物も持ちたかったな。高級で手が出なかったかもしれないけど。グッズは期待ほどではなくて残念。近くの日比谷公園や丸の内仲通りを散策するのはオススメで、5月15日まで。
◆映画「ウエスト・サイド・ストーリー」は音楽が思い出深く大好きな作品。あの名作を今さらリメイク?しかもスピルバーグ監督が?と思っていたけれど、劇場で観て良かった! 前作が好きならばやはり観ないと。ミュージカルは大画面で良い音響で、歌とダンスの躍動感を浴びたい。アニータ役がアカデミー賞助演女優賞を獲って当然の素晴らしいアニータだった。リフ役もマリア役もいいと思ったけど、トニー役がデクノボウ過ぎるような。リタ・モレノが今年90歳というのが感慨深い。今やる意味があるし、白人が肌を茶色く塗らないだけでも修正の必要があるということ、いろいろと問題があるのにまだ気付いていないことが沢山ありそう。
〜2022年3月・その2〜
]]>今年86歳になるというのに、4年をかけて101点のアクリル絵画にした「わたしは真悟」の続編である「ZOKU SHINGO」。”禁じられた遊び”の物悲しいメロディが流れる中、1点1点がひとコマとなり、絵本をめくるように読み進んでゆく。この形式は初めての体験かも? 物語世界に入り込めてとても良かった。濃密な鉛筆画と華やかな色使いのアクリル画の両方ともあり、この熱量から、まだまだ楳図かずお健在!なのが伝わって感動した。六本木ヒルズ森タワー52階の東京シティビューにて、東京タワーを中心としたパノラマと共に観るのが大切で、夜も良さそう。日時指定で混雑なく、3月25日まで。その後大阪へ巡回。
後期の作品である「わたしは真悟」も「14歳」も実は読んでいないのだけど、表紙絵のコレクションが素晴らしくて、たくさんポストカードを買ってしまった。グッズの希望を言えば、サバラ、グワシやギザギザの吹き出しのバッジなどが欲しかったな。ある年代以上には思い出深く、先見性のあるストーリーにハッとするものの、道路が舗装されていないしインテリアもファッションも時代を感じるし、若者たちはどう感じるのかな、とちょっと気になる。
◆新型コロナのワクチン3回目接種を受けた。3回ともファイザーで、2回目までは少し腕が重かったくらいで済んでいたのに、今回は噂の副反応がやって来た。昼に打って、深夜に悪寒でガタガタ震え、アゴ周りのリンパがドクドクとなり、翌日は熱が出て一日寝ていた。ふだんは36℃前後なので最高37.9℃まで上がったのは久しぶりにグッタリ(だいぶマシな方だけど)。周りの友達も一日で下がったと言っていたとおり、翌日には下がってホッとした。これで心おきなく春を楽しめるのだろうか。
〜2022年3月〜
]]>アートでのデル・トロの迫力に驚くし、モデルを舐めてひっぱたかれるシーンが好き。章ごとに雰囲気も表現も変わって、モノクロだったりアニメーションにしたり、自由自在にやりたい事をやっている。いつもの朝の始まり方の繰り返しなんて、とてもいい。大物俳優たちが挙って参加している、この究極のオタク愛あふれる映画を浴びてニヤニヤするのは幸せだ。それにしても、タイトルの長さったら!
◆2月1日発売の”竹久夢二の花図案”切手が素敵で、手紙のやり取りも少なくなったのに、つい買ってしまった。大正ロマンのデザインが可愛らしく、色はレトロ感があり、84円タイプの縦長の形が特にいい。使うのがもったいなくて、これは、買い足させようという作戦にちがいない。
気持ちをざわつかせる件があるものの、、そろそろ春になるし、仕事もやっと楽になるし、ワクチン三回目接種も済めば、いろいろ観に行きたいなと思う。
〜2022年2月〜
]]>お気に入りの陶芸作家の展示会で、先月下旬に購入した作品がようやく届いた♫ ヘンテコで役に立たないユニークな作品を創作している「フクモ陶器」。2012年に六本木のミッドタウンで展示した時には”六本人”を、今回のは”ツボハンド”で、どちらも手がモチーフ。上部の蓮の形は取り外せるけれど手の部分は穴だらけで水は入れられない。でも蓮の穴にドライフラワー的な何かを挿したいと目論んでいる。
◆きのこ関連の本は着々と増えている。図鑑はどんどん高いものが欲しくなるし、画集にも手を出す始末。今月読んだ文学「きのこのなぐさめ」(ロン・リット・ウーン著 / みすず書房)がとても良かった! じんわりと沁みる。きのこに興味がある人には共感を持って面白いし、そうでない人にも興味深い世界に感じるのではと思うし、同じような境遇の人にはなおさら心に残るはず。春らしくなるとそわそわ、アミガサタケに会える日が待ち遠しい。
〜2022年1月〜
]]>2011年のヨコハマトリエンナーレで観た彼の作品「The clock」は、あらゆる映画のなかから、全ての時間の出てくる場面を順につなぎ合わせた24時間の映像作品であり、ヴェネツィアビエンナーレの金獅子賞を受賞した作品。あまりに面白くていつまでも観ていたいものの体力気力とも無理だろうし、制作作業の膨大さには想像を絶する。とにかく最高だったので、今回はその時ほどの感動はなかったけれど楽しめたし、これからも気にしておきたいアーティストの一人。
そしてそのチケットで、MOTコレクション展も観られてオトク。たくさんの収蔵品のなかから「Journals 日々、記す vol.2」として集められた作品群はとても充実していた。特に気に入ったのは大岩オスカールと康夏奈で、どちらも風景を描いたもの。みっちり丁寧に細部まで目を通してあって素晴らしかった。
◆そういえば、世田谷文学館で観た「描く人 谷口ジロー展」(2022年2月27日まで)も圧倒的な筆力、徹底的な観察力での丁寧な仕事の数々に見入った。”一日一コマは当たり前です”という言葉には頭が下がる。才能と努力はもちろん、とにかく描くのが好きだったからこその完成度の高さなのだと思う。
◆「フィリア 今道子」(神奈川県立近代美術館 鎌倉別館にて2022年1月30日まで)は独特の美がぎっしり詰まったモノクロームの写真展。キャベツ、魚、繭、鳥、タコ、きのこ…を使って組み立てたゴシックな世界。ヤン・シュヴァンクマイエルの映像や、メキシコの死者の日が思い起こされる。美しくてグロテスク、静かな豊穣を感じて、とても良かった。
今年も早かった。新型コロナの感染状況は去年の今頃よりもずっと落ち着いているし、ワクチン効果もあるうちに仕事の波が来る前にと、展覧会をハシゴし、ようやく二年ぶりに数人の友人達と食事もした。今後どうなるのかは未知の世界。少しでも前向きに物事が進んでゆけるよう期待したい!
〜2021年12月・その2〜
]]>多摩美大時代の作品の質の高さには驚くし(ベン・シャーンに傾倒しすぎな気もするけど)、デザイン界の先駆者である杉浦非水や山名文夫に教えを受けていた事にびっくりした。直に交流があったなんて羨ましい時代。なんとなくもっと昔の方々というイメージがあった(もう自分の世代も今の学生からしたら昔なのだろうけど)。若い世代もたくさん観に来ていたし、ぜひ観るべき展覧会だった!
◆この秋はだいぶ暖かくて、紅葉もゆっくりめに感じる。コロナ感染者が少なくなって、ワクチン効果がなくなる前に、友人と久しぶりに会ったりしている。フリーランスで仕事をしていると、コロナ禍でなくても一人。良くも悪くもマイペースな私としては特に問題はない。けれどたまに、グループ展や社会貢献的なコトをしたい気分になっていたところ、お誘いがあり、友人も生き生きと活動をしていたので、児童出版美術家連盟(童美連)というところに入会してみることにした。
子供向けの本に絵を描いている人の団体で、同業者との交流や活動、著作権についての相談や勉強ができるようで、まだ入会の承認をされたばかりで、”ひとつ扉を開けてみた”といった感じ。子供向けの仕事に限定してはいないし、できれば幅広く描いてみたいとも思うけど、描いてて楽しいのは絵本や児童書というのも事実。新しい一歩が今後に活きてゆきますように。
〜2021年12月〜
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考える力を育むよみきかせ/国立科学博物館 監修/山下美樹 作/西東社(2021)
]]>マンハッタンを鯨に例えたポスター画もステキ。新聞などに描いた緻密な線画は、絵本の表現とは違う良さがあり、どちらも質の高い仕事だ。実は彼のことを知らなかったのだけど、昔観に行った映画「アマデウス」のポスター画を描いた人だと、今回知った。黒い人物が全面を覆っていて、なんとも不穏なイメージだった。ミロス・フォアマン監督が同じようにチェコスロバキアからの移民という縁からだそう。なかなか見応えのある展覧会だった。各地へ巡回予定。
◆新潟、清里に続いてやっと東京にも!と早速向かった「渡辺隆次 胞子紋の世界展」(目黒寄生虫館の近くのコミュニケーションギャラリーふげん社にて11/4〜11/21まで・月休)。八ヶ岳山麓に暮らす画家・著述家で現在82歳、きのこ好きには有名な方だ。きのこの胞子紋に筆を加えた作品”胞子紋画”をまとめた画文集の刊行記念の展示であり、きのこの細密画作品もあって、どちらも素晴らしい。
黒い紙の上にきのこを置いて一晩たつと、胞子が落ちた跡が現れてるのに魅せられたことから、”わがイコン”と呼ぶほどの対峙の仕方は、なんだかこちらも神聖な気持ちになる。スーパーで売られてるきのこも胞子を飛ばしているのをテレビでやっていたし、試してみたいなと思う。きのことの共同作業はワクワクするに違いない。
◆けっこう人気のシリーズになってるらしい「かがくのお話 25」の新刊「考える力を育むよみきかせ もっと!かがくのお話 25」が11月8日に発売! 今回も2つのお話(月の形、宝石)の絵を担当。きれいな装丁で分厚くて、楽しみながらタメになる本なので、たくさんの子供たちのお気に入りになってほしいな。そしてさらにシリーズが増えていったら嬉しく思う。
〜2021年11月〜
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ひかりのくに11月号/おうちでもてあそびイラスト/ひかりのくに(2021)
]]>トーベのドキュメンタリーも見たことがあり、面長でシワくちゃな顔で無邪気に泳ぐ姿に、活発で中性的な印象を持った。今回、映画「トーベ」を観てナルホドと納得。エンドロールでの本人が踊る姿はけっこう衝撃的で、まさに彼女を表しているのだろうなとニヤニヤしてしまった。大戦後の保守的な時代に、才能と人に恵まれて自由に生きた稀有な人! オススメだけど子供向きではないし、ほんわか可愛い映画だと思っていくとビックリするかも。
◆国立新美術館で「庵野秀明展」(10月1日〜12月19日・火休/各地へ巡回)を観た。幼少期に影響を受けたいろいろの”過去”、アマチュア時代〜大ヒット作の制作過程の”現在”、アーカイブ機構の立ち上げと最新作についての”未来”。わりと年齢が近いため、子供の頃に観ていたTVアニメや特撮モノが同じで懐かしかった。美大時代にアニメーション制作もしたし、絵コンテ等の制作過程が興味深かった。とにかく絵が上手で緻密。爆発の広がりの表現がすごい。それに模型にも目を見張った。ゴーヤにも!
未来少年コナンや宇宙戦艦ヤマトには夢中になったけど、ガンダムやエヴァンゲリオンは観たことがない。映画「シンゴジラ」やNHK「プロフェッショナル」は観ている。そんな私が招待券を得て観に行ってみたら、質量ともにすごくて圧倒され、堪能できた1時間半だった(平日で予約制のため混雑なくて良かった)。ネットでは、観るのに3時間かかった、5時間だった、何度も行くだの言っている人もいるようで。ファンにはタマラナイだろうし、ファンじゃなくても楽しめた。
と、才能の塊を目の当たりにしてしまった。あふれるアイデアと情熱と努力と。甘々で気が散ってばかりの自分を反省。いい季節になってきたんだけどな。
〜2021年10月〜
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<月刊絵本>こどもちゃれんじじゃんぷ 読み聞かせプラス5・6歳/9月号
作:瀧波ユカリ 文:ささきあり 絵:かわむらふゆみ/ベネッセコーポレーション(2021)
]]>まずは九段下のkudan house。以前から訪れてみたかった洋館では予約制で館内の企画展「The Still Point - まわる世界の静止点」の作品が点在した空間が素晴らしかった! スパニッシュ様式というのか大好きな造りに優雅な気分になれたし、庭園ではパビリオンである「木陰雲」(石上純也)が日差しを遮って心地よかった(写真右下)。
そして神宮外苑いちょう並木入り口にドドーンと「東京城」。ブルーシートの城とダンボールの城。会田誠らしい皮肉が効いたパビリオンは、形よくしっかりした出来で迫力十分。
次にワタリウム美術館で予約を取り、10分ほど歩いた角にあったのは、ひと目で藤森照信の作だとわかる芝で覆われた茶室「五庵」。斜め向かいに巨大な新国立競技場(初めて観た!)がそびえている。3、4人ずつ二階と一階に分かれて10分少々ずつ滞在。二階からの眺め、木のテーブルを囲んだ雰囲気が気持ちよく、楽しくて温かみのある藤森建築を体験できて嬉しかった。
最後に向かったのは代々木公園での「雲のパビリオン」(藤本壮介)。空気を入れてふくらませる雲。夏の青空には映えたはずなのに、だんだん暗く小雨模様になってしまった。でも好きだなぁと思う作品だった。
このところは一人黙々とアート巡りをしている。一人でもじっくり楽しめるからいいんだけど、たまには誰かと一緒に共有したい時もある。そう出来る日はいつになるのかな。それに、いつの間にか音痴になっているかもしれない。。
〜2021年9月〜
]]>展覧会は、世田谷文学館での「イラストレーター安西水丸展」(9/20までに延期)へ。ゆるい絵に見えて、絶妙な配色とシンプルな形はセンス抜群で、マネの出来そうで出来ないイラスト。集めていたお気に入りの物が作品と並んでいたり、生活や旅の様子、村上春樹や嵐山光三郎や和田誠との交遊など、彼の絵と同じように会場の構成も楽しかった。
ガロの漫画だと雰囲気が変わり、子供の頃の絵の上手さとノートの緻密さには驚く! 全盛期を知らない人にも是非オススメしたい素晴らしい展覧会だった。
◆映画は、5月から公開されてるのに行きそびれていた「アメリカン・ユートピア」が新宿で期間限定で上映とのことで、ようやく出向き、これが本当に良かった! ブロードウエイでのライブを映像化した、劇場で大画面でいい音響で体感すべき作品。トーキング・ヘッズの特にファンだったわけでもないのに、なんというか、幸福感に包まれたようになったのは、コロナ禍で足りてなかった感覚はこういう事なんだなと思う。
白髪になったデイヴィッド・バーンは歌い方は変わらず、シニカルで思想的で、ヒドイ世の中でも希望を持ちたい、選挙に行こう、と。スパイク・リーに依頼した意味もわかるし、ユーモアを混ぜて堂々と発言し、軽やかに自転車で帰る。素敵だ。今のほうが昔よりも魅力的に見える。バブルの頃、西武美術館で観た「クルト・シュヴィッタース展」は、人生最高の10本に入る展覧会だったので、そのシュヴィッタースの詩を諳んじたのには高揚してしまった。全身で、言葉とパフォーマンスを堪能できる素晴らしい作品だった。
◆映画をもうひとつ。「ジュゼップ 戦場の画家」はアニメーション作品だけど、収容所での辛い日々がほとんどで、なめらかな動きも少ないため、退屈する人もいるかもしれない。私がこの実話に興味を持ったのは、彼がフリーダ・カーロの最後の恋人と言われているから。ラスト近くのメキシコでの日々は短くても引き込まれたし、本当のラストシーンが良くて、満足感があった。
〜2021年8月〜
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◆仕事とコロナ禍のため、映画もアートも観に行けてない今月。前から楽しみにしていた「目」の”まさゆめ”(大きな頭が代々木公園の上空に浮かんだアート)は目の前で観たかった! またの機会があって欲しい。
梅雨明けしたらギラギラの猛暑(きのこは消え去り)、そしてオリンピックが開幕。ぎりぎりになってもゴタゴタ続きで祝祭感は無くなり、重苦しいムードだったけれど、ブルーインパルスをベランダから見上げたら、ようやく気分が上がったのは確か。そして開会式。会場の広さを活かせてなく、散漫な印象は残念に思った。コンパクト、エコ、復興、延期、コロナ禍なのだから当然かもしれない。北京やバルセロナのような華やかな時代とは違うのだから。
女子ボクサーの孤独な走り、森山未來のダンス、ドローンの地球、アナログなピクトグラムは良かった! プラカードのフキダシも嫌いじゃない。みんな好き勝手に言ってるけど、現場の人は本当に大変だったと思う。そして、競技が始まったら想像を超えたメダルラッシュ! 選手たちには頑張ってほしいし素直にドキドキしながら応援している(仕事がはかどらない)。と同時にコロナ感染者はどんどん増えている。
ワクチン接種はまだ1回目が済んだばかり。2回目での副反応が人それぞれで、どうか軽く済みますように。
◆玄光社のムック、illustration FILEのシリーズである「絵本のいま 絵本作家 2021-22」が今年も出ました。私も掲載されているので、多くの人に手に取ってもらい、繋がりができることを願ってます。
〜2021年7月〜
]]>中原淳一の”それいゆ”の世界は、今見ても抜群に洒落ていて、パッチワークの着物に目が釘付けになった。ボディコンスーツは着なかったけど、DCブランドは通った道。愛用していたI.S.のニットのシリーズが展示されているのを見て、あ!と思い出が蘇った。
ユニクロ以前の”家で着る普段着”というのは、毛玉や染みのついた着古した服だったはず。MUJIやユニクロのおかげで日常の服が小綺麗になったのは間違いない。華やかで贅沢な80年代から一転して、環境や社会問題を考えるべき時代となり、そんな中からまた新たな面白さは出てくるのだろうな。
最後のインタビュー映像(49分)は必見! 業界の第一歩を創ってきたデザイナーやスタイリスト達は今でも魅力的で、イイ時代を生きて来たという輝きを感じたものの、一番共感したのは都築響一で、いろいろと腑に落ちたのだった。ショップも見て3時間ほどかかるとみて、ぜひ訪れてほしい。
◆そして、映画「アメイジング・グレイス アレサ・フランクリン」にも興奮した。2018年に亡くなった”ソウルの女王”アレサ・フランクリンの若き日の1972年1月13日と14日の二夜に渡ったゴスペルのライブはCDにはなっているが映画はずっと未完だったとか。
ロサンゼルスのバプティスト教会で目を閉じて歌う姿は、彼女の信仰の深さを身体じゅうから溢れ出る声で表していて神々しい。やはり牧師で歌手の父親のカリスマ性も凄かった。音楽もの映画は劇場に限る。
オリンピックまであと1ヶ月ほど。本当に開催されそうになってきた。ワクチン接種はもうすぐだけど、はたして。気づくと2021年ももう半分終わってしまう!
〜2021年6月〜
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同時期に同館で開催されている「Tokyo Contemporary Art Award 2019-2021 受賞記念展」も、風間サチコ作品のファンなので、木版の大作の大迫力を浴びまくって堪能した。どちらも会期は6月20日までで、現在閉館中。宣言延長となったらどうなるのか…このまま中止になってしまったら残念過ぎる。他のイベントもたくさんの職種も制限がかけられているのに、オリンピックは行うって、本当に?
◆早くも梅雨の気配。洗濯物に関してはスッキリしないけれど、キノコ鑑賞が趣味の私にとっては、いよいよ季節が来た!とワクワクする。かき氷も始まったし(初モノは”ずんだ甘酒”)近場での小さな楽しみで気分をあげている。
〜2021年5月〜
]]>小林清親の錦絵、川瀬巴水の木版画などは近代の情景がほんとに素晴らしいし、岡鹿之助のやや抽象的な油絵も良かった。朝井閑右衛門の電線はホースのように太く、異常なほどの興味を感じる。碍子を間近に見たのは初めてだった。
なかでも気に入ったのは、藤牧義夫「隅田川両岸画巻」という長い墨絵の巻物。生活風景が路地を歩くように描かれてあり、匂いまで感じられそうなほど上手くて、ずっと観ていられた。それと、山口晃の漫画「趣都(電線でござる)」も楽しい!
この頃は電線を邪魔に思うことは多いけれど、子供の頃に見た宮沢賢治「月夜の電信柱」の挿絵には心が踊ったし、電線にとまる五線譜のような鳥の連なりや、冬の夕暮れの鉄塔と電線の風景は美しいと思う。なかなか新鮮な視点の展覧会でオススメしたい。
◆米アカデミー賞最有力候補と言われている映画「ノマドランド」。もったいないほど劇場は空いていたけど、心に響く素晴らしい作品だった。シワシワのマクドーマンドの存在感、ドライなテンポの監督の手腕、あまり目にしない荒涼としたアメリカの景色と現実。身に沁みるというか、ザワザワさせられたというか、実在のノマドワーカー達も出演していてリアルで。
生きてゆくとは? 年をとっても働き続けるのは幸せでもあり、辛い事でもあり。自由と安定、思い出と共にずっといるのか、ばっさり捨ててしまうのか、その都度いろいろと選ぶのが人生なのかもしれない。
◆桜が散る頃からアミガサタケが出てきて、ウキウキ嬉しい春。こんなにたくさん遭遇するのは初めてで、どうか採られませんようにと思いながら観察している。桜もキノコも早くて、あっという間に暑くなってしまいそう。オリンピック開催って現実感がないような。
〜2021年4月〜
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